2019年12月6日

AWE Nite Tokyo #6 イベントレポート

はじめに

新しい技術にチャレンジし続けるpalanのアドベントカレンダー Day6です!
昨日は「デザインツール「Drama」を触ってみた」という記事でした。

デザインツール「Drama」を触ってみた

本日は、11月21日渋谷Edge ofにて行われた『AWE Nite Tokyo #6 「AWE EU 2019 Recap」』のイベントレポートを書いていきます!
AR / WebARについて興味のある方必見!

AWE Nite Tokyoとは

「AWE Nite Tokyo」 とは、 世界最大のARコミュニティーである「AWE(Augmented World Expo)」の東京支部のこと。
日本のARスタートアップであるGraffity、MESON、ENDROLLの3社で2019年5月に設立されました。

設立から様々なテーマでイベントが開催されてきましたが、第6回目の今回は2019年10月17,18日にドイツのミュンヘンで行われたARの祭典「AWE EU」のRecap(まとめ/要約)イベントです。

AWE EUはカンファレンス(現地のARスタートアップによる講演会)エキスポ(展示会)の2部からなるとのこと。
果たしてどんな報告が聞けるのでしょうか!わくわく!

今回のイベント情報(connpass)はこちら

Session1: ENDROLL前元さん

キーワードは早期収益化

AWE EUのカンファレンスで登壇した「Digi-Capital」という企業の話からスタート。

Digi-CapitalはAR/VRのマーケットリサーチや分析を行う企業で、彼らによるとマーケットの成長性は「ARはスマホ」「VRはゲーム」と類似する傾向があるとのこと。
また、XR市場は「多様性と親和性が高い」という特徴があるためEUは比較的相性が良いとの分析がされているそうです。

「XR領域でお金がどういう風に流れていくか、で言うとやはりアメリカ・中国が中心」。

ヨーロッパはマネタイズきっちりできてるわけじゃないがアジアと比べて 「早期収益化」 が成長のキーワードとしてあるそうです。

 Poplarの例

収益化の事例として紹介されたのが「Poplar」という企業。

Poplarは通常のAR/VRスタートアップとは少し異なっていて、自社でフルスクラッチで開発するわけではなく多くのクリエイターを抱えています。(そのクリエイターの数なんと約600名!)

Poplarがやることは、外部から案件とってきてクリエイターに回す、いわばARのクリエイター事務所。

多くのクリエイターを抱え、案件を通し多くの知見を貯めて体系化しておくことで、一見わかりにくいARの価値をわかりやすく見せるのがPoplarの営業力のすごいところだそう。

また、幅広いクリエイターを抱えているため、WebAR/アプリAR問わない選択肢の広さも強み。クライアントへの提案が「やる / やらない」ではなく「どれをやりますか?」と言えるのはすごいですね…

そもそもWebARであるか、アプリARであるかは手段でしかなくクライアントにとっては違いもわからないものなので
それこそ【わかりにくいARの価値】を相談したら良い感じにPoplarが提案してくれるって構図なら頼りたくなりますね…。

クリエイター事務所の立ち回りでマネタイズに成功しているARの新しい事例のひとつです。

snapchat

ご存知snapchatを提供するsnap社はARを「カメラを使うビジュアルコミュニケーションのツール」と定義しているのが特徴。

コミュニケーションの起点を以下の3つだとしています。
– 顔起点
– 場所起点
– 記録起点(文化遺産など)

どうしても従来のカメラの役割(面白いものの写真を撮る、セルフィーするetc)に発想が引っ張られがちですが、
海外のスタートアップは根本的にカメラに期待することがビジュアルコミュニケーショツールと定義できるのは面白い視点。
(そのため、そもそもがコミュニケーションツールであるsnapchatやInstagramはAR(フィルター)と相性がいいのかもしれませんね。)

日常的に自撮りする文化が海外よりも控えに思える日本ではどこまで広まるかわかりませんが、発想の切り替え方法として活用できそう。

Hologate

00(画像引用:https://hologate.com/)

Hologateは、ボクシングのリングのようなセットとVR HMDをひとつのアトラクションフォーマットとして販売する企業。
多種多様なARコンテンツを受託するpoplarとは対照的に、ハード側を統一してしまったうえで中身のコンテンツのみを入れ替えて開発 / 販売しています。

「Hologateはクライアントによってハードを変えないことで費用をミニマムに抑えることに成功している。また、中のコンテンツをひたすら変えることで、どういったコンテンツが当たるのか正確な比較検証ができるのがつよい。」

Hologateはすでに300カ国に展開していますが、その国のカルチャーに合うコンテンツを見つけられたら、その国内で展開を増やす徹底的な攻めの手法も上手いところだそう。

Auggie Award


最後はAuggie Awardの話題に。

Auggie Awardとは一年で最も優れたARの事例を選ぶ国際アワードのことです。
「Best Consumer App」などのコンテンツ枠から「Best Developer Tool」などの開発ツール枠まで幅広く部門が用意されているのが特徴。

前元さん曰く、「温度感として日本のコンテンツでも獲れる。個人でも法人でも。」
積極的に出していきましょう!という言葉で登壇は締めくくられました。

ちなみに2020年のエントリーも始まっていますので気になる方はぜひチェックしてみてください。

2019年の受賞者一覧はこちら

Session2: Statia lab吉上さん

続いてはStatia labのAR事業責任者を務める吉上諒さんの話。
吉上さんは「ストーリーを体感する場をプロデュースする集団」をコンセプトに掲げた「Narr(ナール)」も立ち上げています。

AWE EUの展示部門は吉上さん曰く「ほぼBtoB」。

おもしろかったのはドイツの企業Augmentaioの提供する「教育系ARコンテンツを作成するCMS」や「メンテナンス系ARコンテンツ作成CMS」などのARコンテンツのCMS展開。

吉上さん「うち(Startia lab)で得意の展開方法ですね(笑)」

そして前元さんと同じく、snapchatについても言及しました。
「snapchatはクリエイターのコミュニティー作りや経済圏の構築が上手でうまく回っている」

ARのデザインの話

吉上さんは自身の立ち上げた「Narr」で2019年12月現在、ARを用いたイベントを展開しているそう。
AWE EUで見たAR事例と、Narrでの振り返りも含め、ここでARの優れた体験設計(デザイン)とはどんなものだろうという話題にも触れました。

・プロダクトデザインではアフォーダンス(affordance)が存在するがARのデジタルとリアルが溶けた世界に提示できるアフォーダンスとは何か?

・対応づけは正確にできているだろうか

・AR世界でのフィードバッグはどんなものだろうか?

「AR世界でどう3Dをデザインするか」は、 現実世界の空間や視線誘導などの実際のプロダクトデザインにも通じてきますが
ロケーションベース(体験する場所が特定されている)AR以外は、場や空間の変数が担保できないのでそのバッファを見て設計しなければいけませんよね…。

逆にBtoBは限定的なシーンで使う場合が多いのでそのあたりは設計しやすかったりする。

また、シーンが想定できない時にもいくつかパターン化して用意しておくことで対応できるかもしれない。
(ここではVuframeという企業の事例で、鑑賞者の環境に応じて実寸大 / 卓上サイズの2種類に大きさを切り替えられる3Dモデルの例が紹介されました)

「仮想現実での新しく生まれるアフォーダンスを考えなければいけない」

NarrでARイベントにチャレンジしている吉上さんだからこそ、AWE EUでも改めて考えたARの体験設計。
具体的なコンテンツの話題よりも少しメタ的な話でしたが、著者としては非常に興味のある分野でおもしろかったです!

吉上さんとNarrの、今後のAR体験のチャレンジがとても楽しみ!

Session3: NTTドコモ浅井さん

NTTドコモ浅井さんはスマートグラスなどのハードのお話を詳しくしていただきました。

(画像引用:https://www.m2m-cloud.jp/smartdevice-rw/)

話題に出たのは「realwear」というARグラス。
作業現場で装着するARグラスとして誕生し、現在12ヶ国語でのVUI操作対応しているとのこと。

「日本語で試したところ、非常に正確に認識されて感動した」というrealwearは、スマートグラスが仕事道具として欠かせないツールになる未来を見せてくれますね。


(画像引用:https://www.bose.com/en_us/products/frames.html)

また、オーディオメーカー大手であるBoseのスマートグラスプロジェクトは音声のみで操作するVUI HMDを目指しているとのこと。

現在はBose FrameというARコンセプトのグラス型端末を発売していますが、こちらもレンズに何か表示される訳ではなく音を楽しむグラス型スピーカー。
また、補助音声で「音のAR」を実現するノイズキャンセリングヘッドフォンも発売するなど、オーディオ領域でARを推し進める数少ない企業です。

まとめ

AR系のイベントは多くあれど、多くは開発者寄りの話。
対して今回はビズ寄りの話をがっつり聞ける稀有なイベントでした。

最初に登壇者から「XRにビジネスでは関わってない人ってどのくらいいますか?」と呼びかけがありましたが
なんと手は上がらず参加者も全員業界関係者というなんとも濃いイベントでした…!

VRでも言われることですが、XRで共通する大きな課題はマネタイズ。
早期収益化の重要さを強調していた前元さんが代表を務めるENDROLLも先月「商業施設向けにパッケージ化したARコンテンツ開発」を進めていたりもします。
ARエンタメ開発のENDROLLが施設向け集客ソリューション「CIRCUS KIT」提供開始

海外のいい事例も取り入れつつ、収益化をうまく進めて日本のAR業界を盛り上げていけたら理想ですね。

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