2018年5月29日
プログラミング
Reactでスマートスピーカーのコマンド発音サービスを作ろう(5)【作りながら覚えるReact】
はじめに
スマートスピーカーの発音サービスを作りながらReactを学んでいくシリーズ、第5弾です。
前回はデータをconstファイルに格納し、そちらをmapで展開しました。
今回はUIをリッチにして、ラジオボタンやフリーキーワードの発音ボックスを実装していきます。
UIを構築する
今回はデザイナーさんにUIをリッチにしてもらいました。
before
after
だいぶデザインが洗練されましたね!!
こちらで公開されています!
コンポーネント構成
新しいデザインについて、コンポーネントの構成を考えていきます。
全体はApp.jsで管理しますが、ヘッダー部分をheader.js、カード部分を含むメインの部分をmain.jsと分割することにします。
srcディレクトリのJavaScriptファイルはこのような構成になります。
├── App.js
├── components
│ ├── header.js
│ ├── main.js
│ └── speaker_button.js
├── const
│ ├── alexa.js
│ └── google.js
├── index.js
App.jsもこのようにシンプルになります。
import React, { Component } from 'react';
import './App.css';
import Header from './components/header';
import Main from './components/main';
class App extends Component {
render() {
return (
<div>
<div className="bg-dark header">
<div className="container py-3">
<div className="logo">
<h1 className="text-white">
<i className="fas fa-microphone"></i>
SSCS
</h1>
</div>
<p className="text-white">スマートスピーカーのコマンド発音代行サービス</p>
</div>
</div>
<Header/>
<Main/>
</div>
);
}
}
export default App;
HeaderとMainに分けることでだいぶすっきりしましたね。
一番上のロゴなどについてもコンポーネントにまとめてしまい、App.jsをよりすっきりさせるのも良いかもしれません。
では、今回はheader.js部分を実装していきます!
スピーカーを切り替える
説明文などはそのままとして、AlexaとGoogle Homeを切り替えるボタンを実装していきます。
Alexa選択時
Google Home選択時
一見、どう実装するのかイメージがわかないかもしれませんが、考えてみるとこれはAlexaかGoogle Homeかを選択するラジオボタンである、とも言えそうです。
実装するこのラジオボタンの機能を整理してみましょう。
1. デフォルトでAlexaが選択され緑のスタイルが当たる
2. Google Homeを選択すると赤のスタイルが当たり、Alexaの選択が解除される
3. 再度Alexaを選択すると緑のスタイルが当たり、Google Homeの選択が解除される
こうしたなにかイベントを通じて見かけの変更(再レンダリング)が発生する場合、State
を使用していきます。
Stateとは
Stateとは、コンポーネントが持つ「状態」です。
わかりやすく言ってしまえば、コンポーネントが持つデータのことです。
コンポーネントが持つデータといえば、以前の記事でPropsをご紹介しました。
PropsとStateのちがいはどこにあるのでしょうか。
Propsは親コンポーネントから渡される値であり、不変なデータです。
それに対してStateはコンポーネント自身が持っている状態であり、可変なデータです。
またコンポーネント内でStateを更新することで、コンポーネントが再描画されます。
少し難しいかもしれないので、今回のケースで考えていきましょう。
- デフォルトでAlexaが選択され緑のスタイルが当たる
→この状態(コンポーネントが描画された初期状態)ではスピーカーのStateにAlexaが設定されている。
-
Google Homeを選択すると赤のスタイルが当たり、Alexaの選択が解除される
→Google Homeが選択されるとスピーカーのStateにGoogleが設定され、再描画され、Google Homeの選択状態になる。
-
再度Alexaを選択すると緑のスタイルが当たり、Google Homeの選択が解除される
→Alexaが選択されるとスピーカーのStateにAlexaが設定され、再描画され、Alexaの選択状態になる。
では、こちらをコードにしていきます。
header.js
import React, { Component } from 'react';
import {Alexa} from '../const/alexa';
import {Google} from '../const/google';
export default class Header extends Component {
constructor(props) {
super(props);
this.state = {
speaker_type: "alexa",
};
this._toggleButton = this._toggleButton.bind(this);
}
_toggleButton(e) {
this.setState({speaker_type: e.target.value});
}
render() {
return (
<div className="jumbotron mv">
<header className="mv_ttl">
<h2>Smart Speaker's Commands Speaker (SSCS)</h2>
<p>スマートスピーカーのコマンドを日本語で発音して代行してくれるサイトです。コマンドをクリックすると発音されます。<br/>
コマンドの追加は<a href="https://github.com/eishis/smart-speakers-commands-speaker" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちらから</a>お願いします。
</p>
<div>
<div className="radio_button">
<input
type="radio"
value="alexa"
name="s2"
id="alexa"
checked={this.state.speaker_type === "alexa"}
onChange={this._toggleButton}
/>
<label htmlFor="alexa" className="switch-alexa">Alexa</label>
<input
type="radio"
value="google"
name="s2"
id="google"
checked={this.state.speaker_type === "google"}
onChange={this._toggleButton}
/>
<label htmlFor="google" className="switch-google">Google Home</label>
</div>
</div>
</header>
</div>
)
}
}
では、ポイントを見ていきます。
constructor(props) {
super(props);
this.state = {
speaker_type: "alexa",
};
this._toggleButton = this._toggleButton.bind(this);
}
まずconstructorで初期化処理を行っています。
this.state = {
speaker_type: "alexa",
};
こちらでこのコンポーネントのstateを設定しています。
speaker_type
に初期値のalexa
を設定しています。
this._toggleButton = this._toggleButton.bind(this);
こちらはわかりづらいかもしれません。
_toggleButton
は後で出てきますが、ボタンを切り替えるイベントです。
bindは以前こちらの記事でも解説しましたが、thisを拘束するためのものです。
初期化処理で一回bindをしておかないと、この_toggleButton
上でthisのstate更新をできないので、必要な処理となります。
_toggleButton(e) {
this.setState({speaker_type: e.target.value});
}
先程も解説しましたが、 _toggleButton
はスピーカの切り替えボタンが押された際のイベントです。
this.setState
ではe.target.value
、つまり選択されたボタンのvalueでStateの値を更新してます。
POINT!!
Stateの更新時には直接this.state = {}
で更新するのではなく、必ずthis.setState()
関数を使用します。
StateはPropsと異なり、可変(mutable)であると先程説明しましたが、this.stateの値については不変(immutable)のように考えるようにしましょう。this.setState()
を呼び出すことで、Stateを更新し再描画してくれます。
※Stateを直接更新しようとした場合、console上で Do not mutate state directly. Use setState()とメッセージが出てきます。
では、選択ボタン部分を見ていきます。
<div className="radio_button">
<input
type="radio"
value="alexa"
name="s2"
id="alexa"
checked={this.state.speaker_type === "alexa"}
onChange={this._toggleButton}
/>
<label htmlFor="alexa" className="switch-alexa">Alexa</label>
<input
type="radio"
value="google"
name="s2"
id="google"
checked={this.state.speaker_type === "google"}
onChange={this._toggleButton}
/>
<label htmlFor="google" className="switch-google">Google Home</label>
</div>
注目すべきは、ボタンのcheckedとonChange部分です。
<input
type="radio"
value="alexa"
name="s2"
id="alexa"
checked={this.state.speaker_type === "alexa"}
onChange={this._toggleButton}
/>
checked={this.state.speaker_type === "alexa"}
checkedはこのボタンの選択状態を表します。
値として{this.state.speaker_type === "alexa"}
が入っていますが、これはつまり「this.state.speaker_typeがAlexaの場合にチェックをする」ということです。
onChange={this._toggleButton}
ここは値が変わったら、つまりボタンが押されたら_toggleButtonイベントが発動します。
Google Home側も同じですね!
処理の流れを確認する
では、今回実装したスピーカー選択ボタンについて処理の流れを振り返っていきましょう。
- constructorでStateの初期化が行われる。
speaker_type
にalexa
が入る。 - Headerコンポーネントがレンダリングされる。
checked={this.state.speaker_type === "alexa"}
の部分がtrueになるので、Alexaボタンが選択状態になる - Google Homeボタンを押す
_toggleButton
イベントが発動し、speaker_type
にgoogle
が入り、再レンダリングされるchecked={this.state.speaker_type === "google"}
がtrueになるので、Google Homeボタンが選択状態になる
POINT!!
setState
による再レンダリングは、render()
内のDOM(Document Object Mode)を対象としています。
では、「スマートスピーカーのコマンドを日本語で発音して代行してくれるサイトです。コマンドをクリックすると発音されます。」という説明部分も毎回レンダリングされてしまうのでは?と思われる方もいると思いますが、ちゃんと更新すべき差分のみ更新してくれます。
実は、ReactではVirtualDOMという仮想のDOMを保持し、実際に更新の対象となる部分(差分)だけDOM更新を行ってくれる仕組みがあるのです。
まとめ
今回はReactにおけるStateの役割、Propsとの違いなどを解説しながらスピーカーボタン(ラジオボタン)の実装を行いました。
header.jsには後、自由にコマンドを入力し発音してくれるフリーワード発音ボタンが必要となりますので、次回実装しながら解説していきます。
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